一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「寝坊するなよ」
 
 桑崎にそう言ったくせに。
 俺の方がヤバい。
 部屋に戻ってからも全く眠れなかった。
 
 蒸し暑さと、脳裏を何度も(よぎ)る、見たくもなかった桑崎の、白く痩せた弱々しい身体のせいだ。
 
 俺は中2か?
 悶々とするので、スマホで昔の映画を観賞することにした。
 
 【マイ・プライペード・アイダホ】。
 
 やっぱり、オープニングも、曲もいい。
 何年経っても色褪せない。
 
 がしかし。
 なぜだろう?
 
 一番好きな映画のはずなのに、この夜は没頭できなかった。







 
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