一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 「私、ですか?」
 
  添乗員は私しかいないのだけど、
 
 「そうです、記念に」
 
  こんな若い男性に撮らせてと言われた事はない。
 
 「あ、記念なら、三宅さんも一緒にどなたかに撮って貰いましょう」
 
 周囲を見回すと、説明を終えた蛯原さんと目が合う。
 
 が、分かりやすく彼女は不機嫌だ。
 
 「一応、僕はプロとして仕事してたんで他の人にカメラは触らせたくありません。僕があなたを撮影したいんです」
 
  ″あなたを ″。
 
 何で、こんな地味な私なんか……。
 
 メイクだって、日焼け止めのファンデーションと色づく薬用リップを塗ってるだけだし。
 
 「必ず綺麗に撮りますから」
 
 三宅くんの自信ありげな口調に、私もノーとは言えず、愛想笑いを浮かべて、彼の向けるレンズに収まった。





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