一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 曽木発電所遺構を後にして、予定地の「麹の里」へ向かう。
 
 このテーマパークは酒類の試飲ができるうえ、現場の方が説明をし、その後もお土産等を勧めてくれるので少しばかり気を緩められる。
 
 お客様の後を付いて散策していると、蛯原さんがすかさず寄ってきて 、
 
 「やっぱり、あの子、桑原さんに気があるのよ!」
 
 先ほどの三宅くんとの事を言い始めた。
 やれやれ。
 
 「プロのカメラマンだから、風景も人も撮影したかったんですよ。自らが被写体になるのに興味がないのも分かります」
 
 他の観光客をよりも、添乗員に頼んだ方が気楽だったんでしょ。
 いくら私がそう言っても蛯原さんは腑に落ちない様子。
 
 「私もあと10才若ければね!」
 
 若い時はさぞかし美人でもてはやされたであろう顔を、酷く歪ませて悔しそうにした。
 ベテランガイドなのに、一回り以上も年下の客に入れ込み過ぎだと思う。
 尊敬してたのに、ちょっとガッカリ。
 
 「三宅くんもいいけど、ドライバーの岡田さんも相当なイケメンですよ、彼には興味はないんですか?」
 
 
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