一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 『男にチヤホヤされる年齢が過ぎたらーーそれでもガイド続けてるんだから、いちいち目くじら立ててないで笑って返せ、いつまでも乙女気分でいるなよ』
 

 岡田を見ていたら、昨日言われた事を思い出しイラッとした。
 
 が。
 ここは大人。
 この男よりも8才上の私が子供のようにすねたら痛い。
 
 席は沢山空いていたけど、あえて岡田と同じテーブルに着いた。
 
 窓際で、外の景色が見える良い場所だったし。
 
「おはようございます」
「………あぁ」
 
  無愛想にチラリと私を見て頷く。だけ。
  おはようには、おはようでしょ?
  挨拶もまともにできないの?
 
  呆れて言葉も出ないけど、お腹は鳴った。
 
 岡田が、意外とバランス良くトレイの上を洋食でまとめているのを見て、私もパンを食べたくなり、早速バイキング料理を取りに行った。


「時間かけて取ってきたわりには、少ないな」
「えっ」
 
 岡田が、席に戻った私のトレイの料理を見て、呟いた。
 
「そーでもないでしょ?」
 
 クロワッサンに、ロールパン、スクランブルエッグにウィンナー、そしてミニサラダ、コーヒー。
 
「女はある程度、年齢いったら鉄分とカルシウム取らなきゃダメなんだろう?」

 岡田がわかった風な事をいう。
 まぁ、確かに更年期きたら意識的に摂れって言われるけど。
 
 はっ。
 まさか。  
 私、更年期と思われてる?

 だとしたら、やっぱりデリカシーのない男。
 そんなんだから、その顔で独身なのよ。
 
 
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