一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「何だよ、意味もなく睨むなよ」
 
 岡田が私の視線に気が付いて、クロワッサンをそっぽ向いて食べ始めた。
 
 女嫌いなら、こうやって面と向かって食事するのも苦痛なんでしょうね。
 
 特に会話もなく、黙々と朝食を食べてると、
 
「おはようございます」
 
 桑崎紫都が、珍しくちょっと遅れて現れた。

 うおっ。
 何、この娘。
 昨日よりお肌ツルッツルッじゃない!
 
「おはよう、桑崎さん、泥パックしたでしょ?」
 
「わかります? 全身やりました」
 
 やっぱり若さよねぇ。私のちょっと調子良くなった、とはレベルが違う。
 
 美人じゃなくても、美肌ってのは武器になるもの。
 だからなの?
 
「顔にシーツのシワの痕がついてる」
「えっ?!」
「冗談だよ」
 
 岡田が超つまんない冗談言って、クスリと笑ってるし。
 私とは随分、態度が違うじゃないのよ。
 
 まぁ、別に岡田に微笑まれたって全く心臓揺さぶられないけどね。
 
「桑原さん、そんなに食べるの? 見かけによらないよね!」
 
 桑崎紫都の取ってきた朝食メニューがほぼ和食なのを見て、美肌の要因はコレかぁと妙に納得。
 
 私も明日からはそうしようっと。












 


 

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