一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 ……… それにしても。
 
 このツアーが呪われてるのか、桑崎紫都がトラブルの星の下に生まれてるのか、この三日間色んな事があった。
 
 韓国のツアー客と揉めるし、巻き込まれて添乗員が怪我するわ、昨夜はお客様が救急搬送ときた。
 
 桜の名所巡りなのに、殆ど散ってしまってたのも運無さすぎよね。

「三宅くんも桜の写真撮りたいよねぇ」
 
 道の駅の軒下で休憩中、思わず呟いた私の横で、岡田が自販機から水を買っていた。
 
「三宅だけじゃなく、皆そうだろぉよ」
 
「じゃあ、八重桜でもいいから咲いてるとこ行くべきかなぁ」
 
「桑崎に聞いてみろ」
 
「そう……ね…っ?!」
 
 不意に岡田の手元に視線を移してギョッとした。
 うっそ。
 ミネラルウォーターのペットボトル、さっき開けたのに、もう殆ど空だ。
 
 喉、渇きすぎ。
 こいつ、糖尿とかじゃないの?
 
 岡田の喉仏がごくごくと水を欲し動いている。
 
 
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