一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 もう、三宅くんとどうにかなりたい、とかそんな望みもなくなっていたので、聞いてみた。
 
「気にならないの? 岡田と二人で何を話してるのか」
 
 いくらゲイとはいえ、岡田も男だ。
 こんな絶景と、最高のシチュエーションでいい雰囲気にならないとも限らない。
 三宅くんは、再び首を横に振る。
 
「気にしても仕方ないです。俺、もう桑崎さんにハッキリと振られたので」
 
「えっ」
 
  い、いつの間に?!
 
「俺の汚い過去も全部話した上でだったので、仕方ないんですけどね。きっと俺が本気だったって事も信じて貰えなかった」
 
 そう言って俯く美青年の横顔に、キュンしない女がいるだろうか?
 
 私は、何かで慰められないかと、ハンドバッグを探った。
 
「これ、食べる?」
 
  さっき、岡田に突き返したつもりのガムだった。
  まだ残っていた。
 
「ガム、ですか。ありがとうございます」
 
  どうか、それ食べて元気を出して。



 

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