一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 仕事柄、休みも合わなくて、なかなか会う事が出来なかったけれど、付き合いは一年半続いた。
 
 体の相性も良かったし、価値観も似ていて、お互いに仕事も応援しあってると思っていた。
 
 ………でも。本当はそうじゃなかった。
 
″結婚しよう。そしたら、仕事は控えてくれるよね? ″

 美隆は、元々、結婚相手には専業主婦になってもらいたいタイプだった。
 
 私は、仕事も美隆も失いたくないがために、返事を延ばし延ばしにしていた。
 
 それがいけなかった。
 
″客と浮気してるんだろ?″
 
″俺とそうなったみたいに、他の男にも色目使ってるくせに ″


 美隆の執拗な疑いや嫉妬は、自然と、私を彼から遠ざけた。
 
 怖かった。
 信用されていないことも、それを感じて、私自身の気持ちが冷めていくことも。
 
 まだ愛情があるうちに別れた方がいい。
 そう思って、切り出しのは私だった。
 
″嘘だろ今さら。俺の両親も乗り気だったんだぞ ″
 
  婚約まではしてなくても、あちらのご両親とは会っていたのもあり、彼は最後まで別れを納得していなかった。
 

 
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