一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 ぶっきらぼうだけど、見直す所もあったのに。
 一気に岡田への印象が悪くなった。
   
「私、宴会の間にお風呂済ませて、さっさと寝るわ!本当、岡田の奴ってば頭にくる!」
 
「少ないといいですね、大浴場」
 
 浴衣姿と素っぴんでお客様と遭遇するものほど、気まずいものはない。
 
「そうね。誰にも会いたくないわね。でも、三宅くんは別かな。部屋に遊びに来て慰めてくれたらいいのに。私じゃあ、無いかぁ。あーあ」
 
 重い溜め息を吐いて、蛯原さんは自分の部屋に入って行った。
 見送ったその背中には哀愁が漂っていたけれど、ドライバーとガイドさんは、宿での仕事は無いので後は自由時間。ちょっぴり羨ましかった。
 
 それに比べ、添乗員は、夜中も何かあれば対応しなきゃいけない。
 


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