一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「鹿児島は芋ばっかだねぇ。芋は昔死ぬほど食べたから嫌いなんだよ」
 
 と、お箸で芋料理を弾いているのは赤石さん。
 そんな彼女もいつも一人で食事をしている。何となく寂しそうだ。
 希望があれば、他のお客様と相席にするのだけど……。
 
「添乗員さん! 一人で食うの寂しいよ! 隣で御酌してくれよ!」
「はーい」
 
 南条さんもお一人様なので、テーブルをくっつければ良かったかな。
 
 御酌も仕事のうち。
 
「おつぎしますよ」
 
 南条さんだけではなく、順に手酌のお客様のそばへ近寄った。
 
「添乗員さん、食事は後からですか?」
 
 勿論、三宅くんにもビールを注ぐ。

「ええ、後からですね。9時位になりますかね」
 
 実は、もうお腹ペコペコだった。
 三宅くんに貰ったどら焼のお陰で、今の時間まで持ったようなもの。
 
「かっぱどら、美味しかったです。ありがとうございました」
 
 お礼を言うと、三宅くんは色白の肌をピンクに染めて、照れたような笑みを浮かべた。
 可愛い。
 蛯原さんが夢中になるのも分かる。
 浴衣から見える鎖骨もセクシーだもの。

「さっきは、大丈夫でしたか?」
「え?」
 
 
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