一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 つい、見とれてしまった事が恥ずかしくて、慌てて三宅くんから視線をそらす。
 
「あのお客さんにバスで絡まれてたでしょ? 変な事されませんでしたか?」
 
 三宅くんが、南条さんを見て険しい顔をした。
 
「変な事はされてないですよ、良くあることです」
 
 一般のお客様ではなく、男性ばかりの法人団体では良く触られたりもしたけど、年齢も年齢だ。今はその手の害は少ない。

「そうですか、良かった」

 三宅くんが、微笑みながら料理をつまむ。
 若さゆえ、その手も美しく、まるで石膏で作られた造形物みたいでドキドキした。
 ヤバい。
 
「じゃあ、お料理、堪能されてくださいね。何かあったら呼んでください」
 
 ずっと仕舞っていた女心が疼き出すのが怖くて、私は三宅くんから離れた。


 



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