一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 私の視線に気がついた三宅くんが、ちょっとバツの悪そうな顔をした。
 
「お風呂済ませてからも外せない貧乏性なんですよ。俺の持ち物で一番高額だから」
 
「いえいえ、わかりますよ。その時計を強盗に狙われた、外国の宝石店オーナーいましたよね?」
 
「嫌味なくらい目立ちますからね」
 
 人の価値観はそれぞれ違う。
 時計やバッグにお金かける人もいれば、車やエンジンに大金つぎ込む人もいる。
 
 私は……。

 かけるもの、何にもないな。
 
 恋愛をしなくなってから、髪や服、持ち物どうでも良くなった。
 
 二人の間に流れた沈黙を打ち破るように、三宅くんが私の顔を見て言った。
 

 
 
 


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