一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
金庫には私物以外に、添乗携行金だとかクーポン等の貴重品がある。
私が部屋を出て、身を守れば良しと言うものじゃない。
「木下さん、このままだと人を呼ぶことになりますよ」
布団の上で仰向けになっていた木下さんが、ムクッと起き上がり、思わず身構える。
お客様に言い寄られた経験はあるが、ここまでリスキーな状況は無かった。
「あんたには分からんだろう」
木下さんの低い声が震えていた。
「え?」
おまけに涙目に。
「結婚もせず、死んだ母親の代わりにずっと父親の世話をしてきた俺の気持ちなんか」
「……」
ツアー中、お父様に寄り添って見学をされていて、とても親孝行な息子さんだと感心していた。私自身がそうじゃないから、余計。
「元気なうちに旅したいって言うからさ、こっちは貴重な有給取って、見飽きた親父の面見て始終一緒にいるわけよ、本当はその金でデリヘルの女の子でも呼んだ方がいいのにさ!」
……が、話がちょっと変わってきた。
「この溜まった鬱憤を晴らしてくれるのは、あんたしかいないんだよ」
私が部屋を出て、身を守れば良しと言うものじゃない。
「木下さん、このままだと人を呼ぶことになりますよ」
布団の上で仰向けになっていた木下さんが、ムクッと起き上がり、思わず身構える。
お客様に言い寄られた経験はあるが、ここまでリスキーな状況は無かった。
「あんたには分からんだろう」
木下さんの低い声が震えていた。
「え?」
おまけに涙目に。
「結婚もせず、死んだ母親の代わりにずっと父親の世話をしてきた俺の気持ちなんか」
「……」
ツアー中、お父様に寄り添って見学をされていて、とても親孝行な息子さんだと感心していた。私自身がそうじゃないから、余計。
「元気なうちに旅したいって言うからさ、こっちは貴重な有給取って、見飽きた親父の面見て始終一緒にいるわけよ、本当はその金でデリヘルの女の子でも呼んだ方がいいのにさ!」
……が、話がちょっと変わってきた。
「この溜まった鬱憤を晴らしてくれるのは、あんたしかいないんだよ」