一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 英子からは、仕事だけではなく、高価なプレゼントやお小遣いも貰った。
 
 「誕生日おめでとう、大伍。これ、AUDEMARS PIGUETというスイスのブランドよ。いい時計を持ったら仕事運も上がるから」
 
 ロイヤル オークなんとかってモデルで、あとで調べたら480万円以上の値段で驚いた。
 
「……俺はあなたに何も返せないのに」
 
「いいの!」
 
  情事が終わった後のホテルの一室で、英子は甘えるように俺にしなだれかかってきた。
 
「こうやって、一緒にいてくれるだけで」
 
 華やかな世界にいても、独り身の女優は孤独だったのかもしれない。
 
 そんな英子を可愛いと思った。
 金と体での関係しかない俺達に、情なるものが生まれていたのは確かだった。
 
 
 
< 51 / 316 >

この作品をシェア

pagetop