一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「ツアーの客は全部2階と3階に部屋があるはずだけど、5階?」
 
  しかも、余計な詮索を。
 
  乗務員は皆、同じ5階なのかもしれない。
 
「あの……」「ん?」
 
  こいつにどう思われたって構うもんか。
 
 
「桑崎さんの部屋って分かりますか?」

 
 運転士が、ジロリと俺を見下ろした。
 
「やめとけ、あんな女。一時の気の迷いだ。こういう旅で、どんな女も良く見えるだけだから」
 
「あ、いや、そうじゃなくて」
 
  半分、そうなんだけども。
 
 エレベーターが5階に着いても、運転手は部屋を教えてくれようとはしない。
 
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