一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「バスに乗ってきた時から思ってたけど、あんた、アレに似てるな」
 
 しかも、どうでもいい話をしてくる。
 
「アレ? ……そんなことよりも桑……」
 
「ほら、これ。凄い昔に若くして死んだリバー・フェニックス」
 
 おまけに、ちょっと興奮してスマホの画像を見せてきた。
 全く興味のない外人の男だった。
 
「いや、知らないです。それより教えてください、桑崎さんの部屋。彼女が危ないかもしれないんです」
 
「危ない?」
 
  俺の切羽詰まった感に、ようやく運転手が耳を傾けてくれた。


 さっき、南条さんたちが話していた事を運転士に伝えると、
 
「父子で来てた息子っていうと、あのガタイのいい奴か……」
 
 自身もデカイ癖に、運転士は、おっかなそうな面倒くさそうな顔をした。
 
「だからこそ、早く行かないと……」
 
 桑崎さんがヤられてしまうかもしれない。
 
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