一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
 何で三宅くんが知っていたの?
 
「いきさつはどうあれ、客に部屋を知られるのも、簡単に入れるのもトラブルの元。旅を順風に進めるのがお前の仕事だろ」
 
「……は……い……」
 
  言い方はムカつくけれど、仰る通り。
 
「まぁ、なんにしろ、怪我がなくて良かった」
「は、はい」
 
 不意に窓を見た岡田は、開けて網戸にしてくれた。
 
 そうか。
 網戸にすれば灰は入らなかったのか。
 
「寝坊すんなよ」
 
「……はい」
 
「おまえ、さっきから、″はい ″ばっかじゃん」
 
 クッと笑った岡田が、軽く手を振って静かに部屋を出ていった。
 スウェットではあるけど、後ろ姿までイケメンだった。
 
 鍵をかけて、布団を敷き直す。
 色んな匂いが混ざる空気と入れ替わるように、窓から四月の夜の風が舞い込んできた。
 
 それが汗ばんだ肌に触れて、少しだけ心地良かった。

 
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