一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「桑崎さん!」
 
 人に、拳で殴られたのは初めてだった。
 
 勢いで 倒れた私を、三宅くんが抱き起こす。
 すると、ポタポタと鼻血が落ちてきた。
 
 うそ。
 しかも、多い。
 
 慌ててハンカチで押さえる。
 
「大丈夫?」
 
「う、うん、鼻血は良く出るタイプなの」
 
 言葉とは裏腹に、痛みで涙が出てくる。
 それを見て少しばかり、動揺を見せた韓国人が、

「チョヌン ナプジ アナヨ!」
 
  と、何か吐き捨てて立ち去ろうとした。
 
「待てよ! ケガさせて逃げるのか?」
 
 それを追おうとする三宅くん。
 再び、韓国人が三宅くんをド突こうとする。
 
「三宅さん!いいから!」
 
 





< 92 / 316 >

この作品をシェア

pagetop