バタフライ エフェクト
「もう生きていない。あなたもそう、もう死んでいるんだから」

「ち、違う……。今はここにいるけれど、香菜子の髪を手に入れて、神様の試練を乗り換えたなら、俺は今度こそ香菜子と……」

「そんなの、無理だよ」

「……無理じゃない。ずっと夢見て来たんだ。香菜子とふたりで、ずっと一緒に暮らすんだ……」



元寄の目から大粒の涙がこぼれる。

既に死んでいることを、ようやく認めたように見えた。

受け入れがたいことだったのかもしれない。

でも、元寄がこのままこの家に居続けることは、梨々愛にとって危険でしかない。



「あなたがこの場所から出られるように、私達は頑張るから」
と、私は言った。



「あなたの体もきちんと見つけて、ちゃんと供養できるようにする。だから……」
と、言い終わらない内に、元寄が呟いた。



「……香菜子の髪の毛だ……」

「えっ?」

「香菜子の髪さえあれば、俺は生き返ることが出来るかもしれない。……そうだ、そうだよ。なんで今まで気がつかなかったんだ。これこそが神様の試練じゃないか」
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