バタフライ エフェクト
「そうだよ。でも、梨々愛は殺してない。あなたが殺した」

「……」

「梨々愛には私達がいる。憎しみに支配されそうでも、私達が止める。私達が冷静さを取り戻させる」

「……そうね。私にはそんな人、いなかったわ」

「それは違う」

「えっ?」



香菜子は私をまじまじと見つめた。



「あなたにだって絶対にいたはず。冷静になって、一緒に考えてくれる人が、必ず。それは姉や弟だったかもしれないし、父親や母親だったかも。学校の中の誰かだったかもしれない」

「……」

「あなたの間違った行動は、殺人やそれを隠したこと以外にもある。あなたを罪におとしめたのは、あなたが誰にも相談せず、ひとりきりで解決しようとしたあなた自身だよ」

「だって、誰に頼れたっていうの?」



香菜子の目に涙の輝きが見えた。



「誰だって良かったんだよ。ただひと言、『助けて』を伝えるべきだった」

「……でも、いなかったわ」

「えっ?」

「あの日、ランドリールームに逃げたのは、江原田さんがいると思ったからよ」
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