バタフライ エフェクト
「もうよして」

「香菜子様っ! 私は……、私はあなたの味方でございます!! ですから……!」

「もうよしてよ!!」



香菜子の目に涙が溢れている。



(悔し涙なんだろうな)
と思った。



その悔しさは私には(はか)り知れない。

香菜子にとって江原田さんは、信じていた人だった。

家族に頼れない時、助けを求めるくらいに。

きっとそれまでは心の距離も近かったはず。



そんな人に、裏切られた。

財産を狙われた上に、危険な時に見て見ぬふりされて。

だけど。

たった今、その裏切りくらいに強く深く、香菜子は傷つけられたんだ。



「江原田さん……、間違っていますよ」



私は香菜子の目から溢れた涙を見つつ、江原田さんに話しかけた。



「人の気持ちをわかったように決めつけるのは、間違っています」



声が震えてしまった。

香菜子のことを考えると、喉の奥が締めつけられて、胸がちぎれそうになるくらいに痛んだ。



「あなたは香菜子のことを思っているように振る舞っているけれど、本当は全然違う。全部、自分のために、自分勝手に動いています」
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