バタフライ エフェクト
私はヘアピンの尖った部分を外側に向けて、深呼吸をした。

心臓がどくどくと、うるさいくらいに脈打っている。



「いい? 元寄は部屋のすみにうずくまっているからね」

「うん」



元寄が「香菜子ぉ」とうめいているのは聞こえる。

だけど姿はちっとも見えない。



「あなたが見えないのは、もう元寄の力もだいぶ弱まっているという証拠よ」

「そうなの?」

「だから、この髪の毛を切られている時だって、あなたの攻撃が元寄に届かなかったんだと思うの。同じ世界にいる力が、元寄のほうになかったってことなのよ」

「そうだったんだ……」



そうして話している内に、何かが動いた気配があった。



「!?」

「大丈夫。あいつが立ち上がってるだけ。気配は感じるわね? こっちに来ようとしているの。合図をしたら、それをしっかり手に持って突き刺すのよ」

「!!」



私の手は汗でぐっしょりしている。

でも背中にある、香菜子の手が心強かった。
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