バタフライ エフェクト
このままでは梨々愛まで、引きずり込まれてしまう!



私の背後から、にゅるっと何かが現れた。



「……かみ」
と、それは言った。



私はそれを見ようと、必死に体をひねった。



男だった。

二十歳前後くらいの、若い男。

頭から大量の血が出ており、うつろな瞳で梨々愛を見ている。



「かみ」
と、男は再び言う。



「梨々愛、逃げて!」



私の言葉に、
「そんなこと、できない!!」
と、梨々愛。



男が手を伸ばし、梨々愛の腕を掴んで引っ張る。

梨々愛の体が傾いてしまう。

そのことで、梨々愛の頭部が私に近づいた。

蝶々のヘアピンが目に入る。




「……っ!」



私は床で踏ん張るようにしていた左手を離し、梨々愛のヘアピンを取った。

強引に取ったから、梨々愛が「痛っ」と顔をしかめたけれど、構っていられなかった。



ピンの尖ったところが下になるように片手で持ち替え、勢いよく男の手の甲に突き刺した。
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