ピリオド
僕は手を伸ばし、心春ちゃんの手からカゴを取る。心春ちゃんは戸惑った様子だった。僕は笑って言う。

「二人でやったら早いですから。一緒にご飯を食べましょう」

僕たちは夫婦。夫婦とは互いに助け合うもの。そう僕は言い聞かされて育った。心春ちゃんだけに家事を負担してもらうわけにはいかない。でも、心春ちゃんの家庭は違う。

「大丈夫ですから。総司さんは食べてください。仕事にも行かないといけませんし」

そう言い、心春ちゃんがカゴを取り返そうと手を伸ばす。僕は「二人でやりましょう」と言い、ベランダへと向かった。心春ちゃんは諦めたようで一緒に洗濯物を干す。

風が頰を撫でていく。今日は結婚したあの日のように青空が広がっている。自然と笑みが浮かぶ。だけど、隣にいる心春ちゃんの顔は暗い。一度も僕は心春ちゃんの笑顔を見たことがない。

俯きがちになった心春ちゃんの瞳が潤んでいく。どこか苦しそうだ。心春ちゃんのそんな顔を見ていると、僕の胸も苦しくなっていく。体が呼吸の仕方を忘れてしまう。
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