ピリオド
『心春、すごくこの煮物おいしいよ。今度ビーフシチューを作ってあげよう。僕は煮込み料理だけは上手に作れるんだ』

ジョンさんの笑顔が脳裏に浮かぶ。もう、ジョンさんのビーフシチューは食べられない。私の料理も食べてもらえない。エプロンをただ強く握り締める。

「心春さん。食べましょう」

「……はい」

総司さんに声をかけられ、隣に座る。私の前には恭子さん。斜め前には植村さんが座っている。植村さんが不思議そうに口を開いた。

「何で二人とも敬語なんだ?」

「……親の紹介で結婚したので」

私はそう言い、お茶を口に含む。目の前に座る恭子さんが「なるほど〜」と頷いた。

「椿さんかっこいいから緊張してしまいますよね!」

「おい!俺はかっこよくないから緊張しないのか?」

恭子さんの言葉に植村さんが突っ込み、二人が笑い出す。私の表情は動かない。ふと、隣を見れば総司さんは顔を真っ赤にしていた。
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