ピリオド
恭子さんの腕を振り解き、歩き出す。お世話になっている植村さんの奥さんだけど苦手だ。

恭子さんが僕の隣を歩いてくる。歩く速度を早めてもついてくる。恭子さん、ヒールのある靴を履いているんだけどな……。

「何か用ですか?」

「椿さんってプレゼントのセンス残念ですよね」

「は?」

足を止める。恭子さんはニコニコと笑いながら言った。

「昼間、心春さんに会ったんですよ。あのヘアクリップ椿さんがプレゼントしたそうですね。可愛いヘアクリップでした。でもでも〜、妻にプレゼントするならやっぱりそれなりのブランドじゃないと」

恭子さんが自身のバッグやアクセサリーを見せつけてくる。全部いいブランド物だ。植村さんからのプレゼントだろう。

「私にプレゼントする時は有名ブランドのくださいね!」

「……僕が特別なプレゼントを贈るのは心春さんだけです」

そう言い、僕は歩き出す。後ろを一度も振り返ることはなかった。
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