ピリオド
映像が変わる。僕の前に外国人男性が現れる。この人がジョンさんだ。僕とジョンさんは口論になり、やがて暴力事件に発展する。僕もジョンさんも処罰された。僕と心春ちゃんの結婚は白紙になった。

「な、何だこれ……」

戸惑う僕の背後から声がした。

「……これは、あなたが辿るはずだった運命の一部だ。こうなる未来もあったということだ」

後ろを振り返ると、闇の中に光が集まっていく。それはやがて一体の動物の姿になった。

「サモエド……」

ピンと立った耳、真っ白なふわふわの長い毛に覆われた犬は幼い頃、心春ちゃんが「飼いたい」と言っていた犬だ。

『サモエドって知ってる?ロシア出身の大きな犬で、にっこり笑った顔がすっごく可愛いんだ!ロシアのサモエド族って人たちと一緒に暮らしていたんだよ。ソリを引いたり、サモエド族の湯たんぽ代わりに一緒に寝たりしてたんだって!』

懐かしいな……。目の前がぼやけていく。すると、サモエドが口を開いた。

「あなたはどの運命でやり直したい?」

「やり直す?」

聞き返した僕にサモエドが色々教えてくれた。ここはあの世とこの世の狭間。サモエドは神になり損ねた存在。まだ理解が追い付いていないけど、僕を助けてくれるらしい。
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