ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
「だからって純文学をあきらめたわけじゃない。今、構想中。だから誰になにを言われても気にしなくていい。あなたは俺のミューズだから、そばにいてくれたら必ず書ける」
「ミューズってギリシャ神話の芸術の女神で、九人いるよね?」

「よく知ってるね。さすが読書家。あなたひとりで九人分だよ」
「からかわないでよ」
 耀理の反論に、史弥はくすくすと笑う。

「新連載の第一稿、送るから見てくれる?」
「もちろん!」
 耀理が目を輝かせると、史弥は愛し気に目を細めた。

「俺、しばらく原稿で忙しくて来られなくなる。こっちの仕事と両立させるつもりだったけど難しくなってきた」
「そうなんだ……」

「会えなくて寂しい?」
「すぐそういうこと言う! 仕事に戻って!」

「はは、了解しました、先輩」
 茶化すように言い、彼はレジに戻っていく。

 本当は寂しいよ。
 そう思って、耀理はため息をつく。こういうことを素直に言えたら、関係を一歩進められるのだろうか。

 結局、まだ連絡先も聞いていないし、聞かれていない。
 一言投稿サイトのDMで連絡先を送ればいいのだろうが、それはなんだか嫌だった。直接、きちんと彼に伝えたい。
 今日、おりを見てその話をしなくちゃ。
 耀理はひそかにそう決心した。
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