腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした


           *


あれから数日が経過した。あの日をきっかけに俺は綾香と連絡を取り合っていた。
呼び出したのは綾香の方から。わざわざ呼び出すなんて、何かあったのだろうか。
茜ちゃん抜きで二人っきりで会うのは、何年ぶりだろうか。もうかれこれ十年以上前になるのかもしれない。
それぐらい月日が経過したということになる。時間なんてあっという間だ。
今更、綾香に対して過去のことをとやかく言うつもりはない。アイツもアイツなりに苦労してきたことが分かったから。
ただ、一生許せないのは仕方がないことだと思っている。それだけ傷は深かったということだ。

しかし、いくら蟠りが解消されたからといっても、どんなふうに接したらいいのか、まだよく分からない。
会ってやってもいいとは言った。まさかこんなにも早く会うことになるなんて思ってもみなかった。
俺はもう綾香と話すことは何もない。でも向こうにはまだあるということなのであろう。
しかも今回は茜ちゃん抜きでだ。一体、どんな話をしたいというのだろうか…。
綾香の考えていることがよく分からないまま、俺は待ち合わせ場所へと向かった。

「よ。お待たせ」

待ち合わせ場所には綾香の方が先に来ていた。
きっと自分から誘ったので、俺より後に来てはならないと思ったからであろう。
こういうところは昔と変わっていない。意外と義理堅い奴なのであった。

「わざわざご足労頂き、ありがとうございます」

とはいっても地元が同じ県なので、そこまでではない。
ま、どちらかというと今はまだコイツと二人っきりという方が精神的に辛いくらいだ。

「いえいえ。それで、俺を呼び出したのは何故?」

今更コイツに遠慮など必要ない。だから直球で聞いてみた。
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