腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「なるほど。俺と茜はカップリングの好みは似ているので、確かに話が合いますね」

「いいな。茜と話が合うの。羨ましい…」

そうポツリと呟いた先生の一言は、紛れもない心からの本音だったと、この時の俺はそう思った。
きっと先生は茜のことが大好きなのであろう。
でも、どこかこの二人の間に微妙な距離感があるように感じてしまった…。

「先輩とは1億年後ぐらいには話が合うかもしれないですね」

「だといいけどね。君はどう思う?」

いきなり話題を振られた。無茶ぶりにも程がある。
でも、せっかく憧れの先生に話しかけてもらえたので、頑張って食らいつくことにした。

「俺は一万年とあと数千年前になら…だと思います」

すると、幸子先生は俺を凝視してきた。
え?俺、何かした?!やっぱり版権ものはまずかったか?
ごめんなさい。喜ぶと思ってやったジョークみたいなものです。どうかお許しを…。

「…君!なかなか面白いね。気に入ったわ」

どうやら俺のジョークを気に入ってくれたみたいで、俺は一安心した。
よ、よかった…。幸子先生が寛大な方で。

「あっ、そろそろ片付け始めないといけないから、戻らないといけないの。わざわざ足を運んでくれてありがとう」

「いえいえ。こちらこそ、お時間を作って頂きまして、ありがとうございました」

俺は嬉しかった。こうして好きな漫画家さんにお会いすることができて。
茜ちゃんのお陰だ。あとでちゃんとお礼をしなくては。

「あ、そうそう。美咲くん。私のサインあげるからこっち来て。
茜、ごめん。ちょっとだけ美咲くんのこと借りるね」

「分かりました。待ってますね」

そして、俺は先生の後を付いて行き、裏の方へと回った。
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