腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「美咲くんだっけ?頑張ってね」

…ん?いきなりなんだ?どういう意味での頑張ってねなんだ?

「えっと…それってどういう意味ですか?」

聞くのが怖くも感じたが、直接聞いてみるしかなかった。

「ごめん。一目見て気づいちゃったのよ。茜のことが好きなんでしょ?」

ギグ…。初めて会った幸子先生に気づかれるなんて、どうやら俺の気持ちはダダ漏れみたいだ。

「俺、そんなに分かりやすかったですか?」

「かなり…」

かなり…?!本人に気持ちがバレるのも時間の問題かもしれないと、内心一人焦るのであった。

「でも、大丈夫。肝心の本人はまだ気づいていないみたいだけどね」

よ、よかった…。まだバレてなくて。
いや、バレている方がいいのか?いずれ告白するわけだし…。
安心しつつも、少し複雑な気持ちが入り交じった。

「茜は鈍感というか、こういうことに疎い子だから、どうか諦めずに頑張ってほしい。
無理強いはしないけども、初めて会った時に、お似合いだなって思ったの。余計なお世話かもしれないけど…ね」

寧ろそう言ってもらえて、俺は嬉しかった。
俺は過去に恋愛で苦い思いをした経験があるからこそ、臆病でなかなか自分から動き出せない。
だから、誰かにこうして励ましてもらえると、とても勇気が湧いてくる。
しかも憧れの人に言ってもらえて、こんなに嬉しいことはない。

「いえ。すごく勇気をもらいました。ありがとうございます」

「ならよかった。息詰まったら相談相手になるからさ。これ。私の連絡先」

俺、こんなに幸せなことはもう二度とないかもしれない。
だって、憧れの漫画家さんと連絡先が交換できたんだよ?もうこれだけで充分幸せだと感じた。
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