腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「とにかく、俺の言いたいことはだな、茜の言う通り、確かに幸子先生は絵が上手い。だってそれはプロだから。
だけど、幸子先生と比べる必要はないと思う。大事なのは茜が描きたいと思ったイラストが描けるかどうかだと俺は思う。
…って、絵が描けない俺が偉そうなこと言ってごめん」

そんなことはない。美咲くんの気持ちがちゃんと伝わってきた。
忘れていた。好きなことへの情熱を。大事なのは好きだっていう気持ちだということを…。

「ううん。そんなことないよ。美咲くんの言う通りだと思う。
私、どこかで自分に期待しすぎてたんだと思う。夢を見てたから、現実を知って辛くなったというか…。
先輩が羨ましくて、自分もあんなふうになりたかったんだよね。
だから余計に悔しくて。比べても仕方のないことで、比べるようになったんだと思う」

私は漫画家になりたかったわけじゃない。
大好きな先輩に置いていかれるのが辛かったんだと思う。
もう先輩と一緒に絵を描けなくなるような気がしたから。

「夢は自由だから、夢を見ることは悪いことじゃないと俺は思う」

夢を見るのは自由だ。夢を見た自分が悪いわけじゃないことは分かってる。
それでも、あの頃の自分の考え方は甘かったと思う。
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