腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「分かる?だって先輩の絵の上手さって、常人からしたら天才だもん」

「分かるよ。だって俺、先生のファンだからさ」

すっかり忘れていた。美咲くんが先輩のファンだということを。

「そういえばそうだったね…。なんか美咲くんと話してたら、自分の悩みがちっぽけに思えてきたよ」

今まで誰かに話したことがなかった。
この話をすることで、先輩の悪口を言っていることになるような気がして、なかなか言えずにいた。
でも、不思議だ。美咲くん相手なら自然と話せた。
きっと美咲くんなら、痛みを分かち合えるような気がしたからかもしれない。

「それならよかったよ。俺も茜の話が聞けて嬉しかった」

彼は笑顔でそう言ってくれた。
なんだか彼の笑顔に救われた。この笑顔を見ていると落ち着く。

「それにあれだけ絵が上手い人が隣に居たら、比べたくなくても比べちゃうよ。俺でも同じ立場だったらそうなってたと思う」

誰しも自分の中にコンプレックスを抱えて生きてる。
もし、自分のコンプレックスを凌駕する人が目の前に現れたら、その人と比べてしまうのは、人間の本能なのかもしれない。

「本当?それならよかった…」

「うん。だって茜が絵を描いていることを知れたから」
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