腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
「そういうことなら、お言葉に甘えさせて頂くことにするよ。
被り物は任せて。私が責任持って買わせて頂くので」

「ありがとう。それじゃ、被り物は茜に任せる」

これで交渉成立だ。あとはゲートを潜るのみ…。

「うん、私に任せて。あと、チケット代を奢ってもらちゃってありがとう」

「いえいえ。こちらこそ今日は来てくれてありがとうな。
それに俺も被り物というか、グッズ買ってもらうから、そこはお互い様ということで」

改まってそう言われると、照れくさいというか、変に意識してしまう。
誰かに素直に奢ってもらうのなんて、私は初めてのことだから、反応に戸惑ってしまう。
しかもその初めて奢ってもらう相手が、男性だから余計に…。
これはデートじゃない。単にヲタク友達として遊んでいるだけに過ぎない。
頭では分かっていても、こんなふうにスマートにカッコつけられてしまうと、意識せざる得ないのであった…。

「まだまだ先は長いけど、今日は楽しもうね」

「そうだな。楽しもう」

今日はもう貸し借り云々は忘れて、思いっきり楽しむことにした。
だって、お金のことを気にして楽しめないなんて損だ。
せっかく美咲くんと初めて夢の国へ来たのだから、思いっきり楽しまないなんて美咲くんに対して失礼だ。

それなら、素直に奢られる方がお互いに今日を楽しめるからその方がいい。
あまりの紳士っぷりに心が揺れ動いてしまったことに気づくのは、あともう少し先の話であった…。
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