腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした
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「すげー。ここが本店のBLコーナー……」
漫画のフロアに着いて早々、美咲くんはお店に着いたばかりと同様の反応をしていた。
「普通の本屋さんじゃ有り得ないもんね。だって商業漫画と同人誌が一緒に置いてあるなんて」
この光景を初めて見た時、私は感動のあまり言葉を失った。
そして、気がついたらレジでお会計をしていた。
ここで大事なのは正気を失わないことである。
「茜ちゃん、どうしよう…。カフェへ行く前に軍資金を全て失いそうだ」
マズイ。これは完全に罠にハマってしまっている。
恐るべし。さすが全国にある大型アニメショップである。
「とりあえず、どうしても欲しい奴だけ買って、カフェが終わった後、銀行に寄ってからまた来よう」
グッドサインを出した。そう。これはもうお金を新たに調達しに行くしかないのだ。
初めての時は誰しもそうだ。故に私もそうであった。
大人とは恐ろしい。お金で物事を解決してしまおうとするのだから。
「今ので何となく察したよ。うん、そうするわ…」
美咲くんはどうやら、今ので察したというよりは、何かを諦めたみたいだ。
ヲタクとは己の欲望に忠実な生き物であるという自覚を持ち、常に行動せねばならない。
そうしなければ、いつまで経っても貯金が貯まらないからである。