妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜
 私はその日から、ノアくんの感情を読み解こうと努力した。何故かは分からないが、私に対して不満という感情を抱いているように見える。
 そして敵視。これも何かしらの不満があって、私に向けているものなのだ。

 けれども、最後の感情。これが分からなかった。

 だからある時、イルゼさんに訊ねてみたのである。

「あの、ノアさんなんですけど……」

 私の言葉に反応したイルゼさんは、また彼が私に対してやらかしたとでも思ったらしい。「またキツく叱っておくね!」と言われたので、私は慌てて否定した。

「いえ、そうではなくて……彼の感情を読んでみたのですが……」
「感情を? いえ、何でもないわ。続きを教えてもらえる?」

 最初は私の言葉に驚きを浮かべたイルゼさんだったけれど、すぐに真剣な表情に変わる。

「彼には私に対して不満と敵視の感情があるようです。ただ……」

 うまく伝わるか分からず口籠る私。イルゼさんはそんな私に寄り添ってくれる。

「あとひとつ、感情があるようなのですが……私には分からなくて……」

 あの感情をどう言葉で表せばいいのかが分からない。私は役に立たなくて申し訳ない……と思いながら頭を伏せる。

「そうね……もしかしたら嫉妬かもしれないわ」

 イルゼさんは私の話で光明を得たのか、考え込みながらも話を続ける。嫉妬、という感情がいまいち理解できない私に、彼女は優しく教えてくれた。

「あの子はアダン様にとても懐いていてね……何かあれば、『アダン様〜』って抱きつきにいく子なのよ。最近は彼も家庭教師が付いて勉強をしているのだけれど、その分アダン様と会う時間がなくなっているのかもしれないわ。その代わりにエーヴァちゃんがアダン様と関わってたから、羨ましかったのね、きっと」
「嫉妬、羨ましい……」
「そうよ。きっとアダン様に会えるエーヴァちゃんが……羨ましいのよ」
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