妹に代わり泉に身を投げた私、湖底の街で愛を知る 〜虐げられた私が幸せを築くまで〜
それから数日後。
私はノアとアダン様と共に街へと繰り出していた。私は公爵家にいた時、街に出たことなど一度もない。強いて言うならば、泉に入水したあの日……馬車の中で街を見たのが初めてだ。だからだろうか、心が浮ついているように思う。
街へとたどり着く前に気になったのは、女神デューデ様の加護の外だった。何かが悠々と泳いでいるのを唖然と見ていた私にアダン様は教えて下さったのだが、あれは魚という名前の生き物らしい。ひれを使って水の中を自由に泳ぐことができるのだとか。
私はまだ見ぬ世界に浮き足立っていた。
王宮の門を出ると、そこには街があった。
建物の壁は王宮と同じ白色で、屋根は赤色だ。王国の街と比べると、ネレイダの街は建物が高い。アダン様が教えてくれたのだけれど、この街の建造物は三階建で一階が店舗、二階以降が住まいとして利用されているところが多いのだとか。
食堂や宿などでは、二階も店舗として利用していることもあるのだそう。公爵家しか知らなかった私の世界は、どんどん広がっていく。
私ははしたなくも目を忙しなく動かした。見るもの全てに興味を惹かれたからだ。この街は本当に水底にあるのだろうか、と思うほど活気があり、皆が笑顔で過ごしている。
三人で歩いていると、街のひとり……屋台と呼ばれる移動可能な簡易店舗で働いているおじ様の声が聞こえた。
「おお、ノアじゃねーか! ちゃんと勉強してるか?」
「べ、勉強してるもん!」
どうやらこのおじ様はノアのことを知っているらしい。
その後も攻防が続く中、ノアがげんなりした表情を見せた……頃思う存分に彼を揶揄ったおじ様にアダン様は声をかけた。
「そこまでにしてやってくれ」
「ああ、すまないね。弄り甲斐のある坊ちゃんだからさぁ。ほら、その分これを持っていってくれよ!」
目の前に差し出されたのは、顔ほどもある大きな食べ物。肉と野菜が串に刺されている。彼が言うには、これは串焼きというもので、ここで焼いて売っているのだとか。
ノアとアダン様はお礼を言いながら、それを受け取っている。初めて見る食べ物に何度か瞬きをしていると、おじ様がこちらを向いた。
「お連れのお嬢さんもどうぞ!」
「あ、ありがとうございます……」
目の前に差し出されて、受け取りながらお礼を告げる。すると、おじ様はニカッと笑って言った。
「良いってことよ! 国王陛下に食べてもらえるだけで、うちの店も箔が付くからさ! な、陛下!」
「いや、私は国王ではないのだが……」
アダン様はおじ様を見て、額に手を置いてため息をついている。
私は呆気に取られた。皆がアダン様と呼んでいたので、お偉い方だとは思っていたのだけれど……まさかこの国の国王陛下であったとは。その考えに辿り着かなかったことに、私は衝撃を受けた。
私はノアとアダン様と共に街へと繰り出していた。私は公爵家にいた時、街に出たことなど一度もない。強いて言うならば、泉に入水したあの日……馬車の中で街を見たのが初めてだ。だからだろうか、心が浮ついているように思う。
街へとたどり着く前に気になったのは、女神デューデ様の加護の外だった。何かが悠々と泳いでいるのを唖然と見ていた私にアダン様は教えて下さったのだが、あれは魚という名前の生き物らしい。ひれを使って水の中を自由に泳ぐことができるのだとか。
私はまだ見ぬ世界に浮き足立っていた。
王宮の門を出ると、そこには街があった。
建物の壁は王宮と同じ白色で、屋根は赤色だ。王国の街と比べると、ネレイダの街は建物が高い。アダン様が教えてくれたのだけれど、この街の建造物は三階建で一階が店舗、二階以降が住まいとして利用されているところが多いのだとか。
食堂や宿などでは、二階も店舗として利用していることもあるのだそう。公爵家しか知らなかった私の世界は、どんどん広がっていく。
私ははしたなくも目を忙しなく動かした。見るもの全てに興味を惹かれたからだ。この街は本当に水底にあるのだろうか、と思うほど活気があり、皆が笑顔で過ごしている。
三人で歩いていると、街のひとり……屋台と呼ばれる移動可能な簡易店舗で働いているおじ様の声が聞こえた。
「おお、ノアじゃねーか! ちゃんと勉強してるか?」
「べ、勉強してるもん!」
どうやらこのおじ様はノアのことを知っているらしい。
その後も攻防が続く中、ノアがげんなりした表情を見せた……頃思う存分に彼を揶揄ったおじ様にアダン様は声をかけた。
「そこまでにしてやってくれ」
「ああ、すまないね。弄り甲斐のある坊ちゃんだからさぁ。ほら、その分これを持っていってくれよ!」
目の前に差し出されたのは、顔ほどもある大きな食べ物。肉と野菜が串に刺されている。彼が言うには、これは串焼きというもので、ここで焼いて売っているのだとか。
ノアとアダン様はお礼を言いながら、それを受け取っている。初めて見る食べ物に何度か瞬きをしていると、おじ様がこちらを向いた。
「お連れのお嬢さんもどうぞ!」
「あ、ありがとうございます……」
目の前に差し出されて、受け取りながらお礼を告げる。すると、おじ様はニカッと笑って言った。
「良いってことよ! 国王陛下に食べてもらえるだけで、うちの店も箔が付くからさ! な、陛下!」
「いや、私は国王ではないのだが……」
アダン様はおじ様を見て、額に手を置いてため息をついている。
私は呆気に取られた。皆がアダン様と呼んでいたので、お偉い方だとは思っていたのだけれど……まさかこの国の国王陛下であったとは。その考えに辿り着かなかったことに、私は衝撃を受けた。