訳あって、推しに激似のクールな美容外科医と利害一致のソロ活婚をしたはずが溺愛婚になりました
強張っていたはずの杏璃の身体から力がゆるゆると抜けてゆく。
口からは甘い喘ぎが零れ始めた。
「あっ、……んぅ、ふ、ぅ」
それに伴い、杏璃の唇のあわいから央輔の熱くぬるついた舌が差し込まれたのを境に、キスは濃厚さと甘さを増してゆく。
ざらつく舌で歯列をなぞり、口蓋をねっとりとした舌先で擽るようにして、絶えず粘膜を撫でまわされる。
央輔が拙い杏璃のペースに合わせてくれているおかげで、辛うじて息継ぎはできる。
だがどういうわけか頭がぽーっとして思考が覚束なくなってきた。
(もしかして、さっき飲んだ甘くて綺麗なカクテルが効いてきたのかな)
そう思うほどに、何だかふわふわしてとてつもなく心地がいい。
あまりの心地よさに驚いていたのも忘れて陶然となった杏璃は、無意識のうちに央輔の広い胸にぎゅっとしがみついていた。
すると杏璃の様子を案じた央輔が即座にキスを解いて、優しい声音で問いかけてくる。
「どうした? 苦しいのか?」
蕩けるような甘いキスが名残惜しくて、杏璃は素直な気持ちを伝えてしまう。
「あっ、いえ、気持ちいぃ……です」
杏璃の反応が意外だったのか、央輔は一瞬だけ目を瞠ると意味深な台詞を囁いた。
「……感じやすいんだな。だったら、もっと気持ちよくしてやらないとな」
いつもと変わらず無表情なのに、心なしか嬉しそうに見える。
(――へ? それってどういう……)
彼の言葉の意味をはかれず逡巡していると、バスローブの胸元を大胆に曝かれてしまう。
普段からの習慣で、風呂上がりにブラを着けなかったことを悔やむ暇すらなかった。
ふるんとまろび出た、柔らかな胸の膨らみを両の手で捉えられてしまった刹那。
「やっ、ちょ――あっ、やぁん……!」
自身が出したものとは思えないような、やけに甘ったるい嬌声が漏れ出てしまう。
「いい声で啼くんだな。もっと啼かせたくなる」
央輔に楽しげな口調で指摘され、顔ばかりか全身に滾るような熱が駆け巡る。
さっきまでのキスでぼんやりとした意識 に、欲情に駆られた央輔の声が蜜のようにとろりと甘く溶け込んでゆく。
そんなタイミングでキスが再開された。キスのリズムに合わせて、央輔の大きな手が胸の膨らみをふにふにと淫らに弄ぶ。
「ふっ、ぁ、ん……んぅ」
大人のキスと巧みな愛撫とで同時に翻弄されて、もうその言葉の意味を思考するような余裕などない。
絶え間のない甘美な愉悦の狭間で喘ぎながら、央輔の逞しい腕に縋りつくことしかできないのだった。
「そんなに必死に縋りついてきて。いじらしいな」
ふいに耳元に甘い声音で囁かれても、口からは意味をなさない喘ぎだけが漏れるばかりで会話にならない。
けれど、央輔は杏璃からの返答など求めてはいなかったようで、ふっと満足そうに笑みを深める。
そのことに杏璃がほっとしている間に、央輔の端正な相貌は歪な笑みを湛えていた。そうして、切なげに声を紡ぎ出す。
「もっともっとよくしてやるから、今は夫である俺のことだけ見ていろ」
言葉は傲慢だけれど、あたかも懇願でもするかのような物言いに、杏璃は自身に向けられたのかと勘違いそうになったが、なんとか思いとどまれた。
(……そうだった。危ない危ない。これはアーサー王子になりきってくれているだけなんだから、しっかりしなきゃ)
そんなふうに杏璃が自身に言い聞かせていられたのも、ここまでだった。
なぜなら、央輔が胸の膨らみを手のひらで弄びながら、もう片方の胸にむしゃぶりついてきたからだ。
「……はぁ……やっ、あうぅ!」
先ほどまでとは比較にならない強い刺激が全身に駆け巡る。杏璃は仰け反るようにして身体を跳ね上げ、のたうつように身を捩る。
放った言葉同様に、杏璃に余計なことは考えず、夫である央輔との行為に集中しろ、とでも言うように――。