訳あって、推しに激似のクールな美容外科医と利害一致のソロ活婚をしたはずが溺愛婚になりました
しばらくすると気持ちも落ち着いてきて、涙もすっかり引っ込んでいた。けれど、央輔のあたたかな胸から離れがたくて、杏璃は胸に顔を埋めたまま動けずにいた。
央輔も同じ想いでいるのか、杏璃を大事そうに包み込んだままでいてくれる。
(もしかして、央輔さんも同じ想いでいてくれてるのかな?)
そう思っただけで、この上なく幸せで、益々動く気がしない。
――このまま二人でこの幸せの余韻の中でずっとずっと微睡んでいたい。
などと本気で願いはじめていた。とはいえ、ここは車内だ。
いくら地下駐車場で人気がないからって、いつまでもこうしてはいられない。なにより、仕事上がりで疲れているであろう央輔を早く休ませてあげたい。週末(金曜日)なので尚更だ。
煩悩に打ち勝った杏璃が行動に移そうとしていたちょうどその時、央輔が優しく問い掛けてきた。
「落ち着いたか?」
優しくて甘いその声に導かれるようにして顔を上げた杏璃は、数秒間フリーズしてしまった。
「――ッ⁉」
これまでもアーサー王子に成り切って溺愛モードだった央輔だが、それとは比にならないぐらい甘さを孕んでいたからだ。
ただでさえ眩しいのに、キラキラオーラ全開で、直視できないほどである。だというのに、蕩けそうな甘い眼差しでじっと杏璃を見つめたまま目を逸らそうとしないから、恥ずかしくて仕方がない。
「……は、はい、おかげさまで。でも……あの……」
どうにかこうにか返事をしたものの、杏璃は顔を赤らめながら言い淀む。
「ん? どうした?」
それを知ってか知らずか、央輔はそう言ってぐっと距離を詰めて尚も顔を覗き込んでくる。
「そ、そんなに見ちゃヤダ! ……恥ずかしいぃ」
ますます羞恥を覚えた杏璃は思わず叫ぶように訴えた。
ところが、央輔は何もかも承知の上での行動だったようで、あっけらかんと言い放つ。
「それは無理だ。恥じらう杏璃が可愛くてどうしようもない。記念に写真で残しておきたいぐらいだ」
挙げ句の果てには、恥じらう杏璃を記念写真として残したいなどと、とんでもない台詞まで投下した。
「! そ、そんなの絶対ダメです!」
推しからのトンデモ発言に面食らいながらも即座に却下した杏璃だったが……。
これまでとは比較にならないほどの威力を増した、麗しすぎる推しの写真こそ記念として相応しい! なんとしても写真に収めたい! 恥じらう写真で推しのベストショットが手に入るなら悪くないかも! などという悪魔の囁きと心の中で密かに葛藤していたのは秘密だ。
「なら、写真がなくても、杏璃のことをいつでも思い出せるようにしておかないとな」
杏璃が葛藤している隙に、意地の悪い笑みを湛えた央輔が耳元に囁きを落とした。と同時に、央輔は杏璃のおでこや頬というように顔の至る所に甘いキスの雨を降らせはじめる。
「え……? や、くすぐったい。ん、ふぅ」
口づけがあまりに甘くて優しいものだから、意図せず杏璃の唇のあわいから甘えるような声が零れ落ちてゆく。
「……あっ、やぁ……んぅ」
やがて央輔の柔らかな唇が杏璃の無防備なそれへと辿り着いていた。幾度も優しく啄まれているうち、歯列を割った央輔の熱い舌がにゅるりと咥内に挿し入れられた。
それを皮切りにキスがどんどん深まってゆく。杏璃は拙いながらも央輔に応えたくて自ら舌を搦めようとするもうまくいかない。
それでもなんとか応えたくて、必死に舌を絡めているうち央輔の胸にギュッと縋りつくようにしがみついていた。
「おう……すけ、さ……んっ、すきぃ……だい……す、きいぃ」
央輔の織りなす甘やかな口づけに酔い痴れ、あえかな声と一緒に拙い声で央輔への想いを紡ぎながら。
「こら、煽るな。止まらなくなるだろ」
キスの合間にそんな風に咎められても、杏璃にはどうすることもできない。これまで胸の奥底に封じていた反動だろうか。一度溢れた想いは止めどなく湧き上がってくる。
「止めちゃ……やぁ、だ。……ずっと……こうして……たいっ」
熱に浮かされたように素直な気持ちを告げると、なぜか央輔のすべての動きがピタリと止まってしまった。
(え? 何? どうしちゃったの?)
予告なくキスを中断された杏璃は状況が掴めず困惑状態だ。
そんな杏璃の首に央輔が顔を埋めてむぎゅっと抱きついてきた。かと思えば、長ったらしい溜息が垂れ流される。
「……これが……尊いってことか……」
央輔も同じ想いでいるのか、杏璃を大事そうに包み込んだままでいてくれる。
(もしかして、央輔さんも同じ想いでいてくれてるのかな?)
そう思っただけで、この上なく幸せで、益々動く気がしない。
――このまま二人でこの幸せの余韻の中でずっとずっと微睡んでいたい。
などと本気で願いはじめていた。とはいえ、ここは車内だ。
いくら地下駐車場で人気がないからって、いつまでもこうしてはいられない。なにより、仕事上がりで疲れているであろう央輔を早く休ませてあげたい。週末(金曜日)なので尚更だ。
煩悩に打ち勝った杏璃が行動に移そうとしていたちょうどその時、央輔が優しく問い掛けてきた。
「落ち着いたか?」
優しくて甘いその声に導かれるようにして顔を上げた杏璃は、数秒間フリーズしてしまった。
「――ッ⁉」
これまでもアーサー王子に成り切って溺愛モードだった央輔だが、それとは比にならないぐらい甘さを孕んでいたからだ。
ただでさえ眩しいのに、キラキラオーラ全開で、直視できないほどである。だというのに、蕩けそうな甘い眼差しでじっと杏璃を見つめたまま目を逸らそうとしないから、恥ずかしくて仕方がない。
「……は、はい、おかげさまで。でも……あの……」
どうにかこうにか返事をしたものの、杏璃は顔を赤らめながら言い淀む。
「ん? どうした?」
それを知ってか知らずか、央輔はそう言ってぐっと距離を詰めて尚も顔を覗き込んでくる。
「そ、そんなに見ちゃヤダ! ……恥ずかしいぃ」
ますます羞恥を覚えた杏璃は思わず叫ぶように訴えた。
ところが、央輔は何もかも承知の上での行動だったようで、あっけらかんと言い放つ。
「それは無理だ。恥じらう杏璃が可愛くてどうしようもない。記念に写真で残しておきたいぐらいだ」
挙げ句の果てには、恥じらう杏璃を記念写真として残したいなどと、とんでもない台詞まで投下した。
「! そ、そんなの絶対ダメです!」
推しからのトンデモ発言に面食らいながらも即座に却下した杏璃だったが……。
これまでとは比較にならないほどの威力を増した、麗しすぎる推しの写真こそ記念として相応しい! なんとしても写真に収めたい! 恥じらう写真で推しのベストショットが手に入るなら悪くないかも! などという悪魔の囁きと心の中で密かに葛藤していたのは秘密だ。
「なら、写真がなくても、杏璃のことをいつでも思い出せるようにしておかないとな」
杏璃が葛藤している隙に、意地の悪い笑みを湛えた央輔が耳元に囁きを落とした。と同時に、央輔は杏璃のおでこや頬というように顔の至る所に甘いキスの雨を降らせはじめる。
「え……? や、くすぐったい。ん、ふぅ」
口づけがあまりに甘くて優しいものだから、意図せず杏璃の唇のあわいから甘えるような声が零れ落ちてゆく。
「……あっ、やぁ……んぅ」
やがて央輔の柔らかな唇が杏璃の無防備なそれへと辿り着いていた。幾度も優しく啄まれているうち、歯列を割った央輔の熱い舌がにゅるりと咥内に挿し入れられた。
それを皮切りにキスがどんどん深まってゆく。杏璃は拙いながらも央輔に応えたくて自ら舌を搦めようとするもうまくいかない。
それでもなんとか応えたくて、必死に舌を絡めているうち央輔の胸にギュッと縋りつくようにしがみついていた。
「おう……すけ、さ……んっ、すきぃ……だい……す、きいぃ」
央輔の織りなす甘やかな口づけに酔い痴れ、あえかな声と一緒に拙い声で央輔への想いを紡ぎながら。
「こら、煽るな。止まらなくなるだろ」
キスの合間にそんな風に咎められても、杏璃にはどうすることもできない。これまで胸の奥底に封じていた反動だろうか。一度溢れた想いは止めどなく湧き上がってくる。
「止めちゃ……やぁ、だ。……ずっと……こうして……たいっ」
熱に浮かされたように素直な気持ちを告げると、なぜか央輔のすべての動きがピタリと止まってしまった。
(え? 何? どうしちゃったの?)
予告なくキスを中断された杏璃は状況が掴めず困惑状態だ。
そんな杏璃の首に央輔が顔を埋めてむぎゅっと抱きついてきた。かと思えば、長ったらしい溜息が垂れ流される。
「……これが……尊いってことか……」