訳あって、推しに激似のクールな美容外科医と利害一致のソロ活婚をしたはずが溺愛婚になりました
やがて車はクリニックの駐車スペースへと到着し、足早に最上階へと向かう。啓輔を伴った央輔が院長室に入るなり、件の女優から熱烈な歓迎を受けた。
「お~、噂に違わぬ美貌だわ~。エクセレント! 眩しいぐらいだわ! 央輔、今日はお会いできて光栄です~! 是非、後でお写真を一緒にとっていただきたいわぁ。家宝にしたいの。まさか、本当にお会いできる日がくるなんて、夢のようだわぁ」
「……い、いえ、こちらこそ、ご指名いただき光栄です」
「これも啓輔のおかげね~、ベリベリサンキュ~!」
何故か興奮した様子で、テンションも非常に高い。まさか、おかしな薬では……と一瞬脳裏に過ったが。
「も~、ソフィアったら、大袈裟なんだから~」
いつものハイテンションで女優とハグし合っている啓輔と同類だな、とすぐに納得した央輔だ。
もちろん、英語での挨拶だが、英語・ドイツ語・フランス語をマスターしている央輔には造作もない。
だが、何だろう。
言葉の端々に妙なものが交じっているような気がするのだが……。気のせいだろうか。
それに、この感じ、どこかで感じたような気が……。これも、気のせいだろうか。
若干引っかかりながらも、央輔は美容外科医として真摯に対応した。
それからは、談笑を交えながら、施術についての説明へと移行していった。
その間も何やら既視感のようなものを感じて、落ち着かない。
とはいえ、今は仕事中である。
そんな素振りはおくびにも出さず、お得意の無表情を貫いていた。
「もちろん、施術に入る前には、身体面だけでなくメンタル面も含めてカウンセリングを実施して、おひとりお一人の体質にも考慮したサポートを心がけておりますので――」
央輔が違和感を抱いていたソフィアに動きがあったのは、説明も終わりに差し掛かった時のことだ。
さっきから視線を膝に落として、何やらもぞもぞとしていたソフィアが思い切るようにしてガバッと顔を上げると同時に口を開いた。
「あ~、なんて素敵なの。パーフェクトだわ~! もう、この感情を抑えることなんてできないわ。ねえ、央輔。私のパートナーになってくれないかしら。そうしたら、世界中に売り込んであげるわ。悪い話じゃないと思うの。ねえ、央輔、貴方もそう思わない?」
一瞬、我が耳を疑ったが、央輔の優秀な頭脳は瞬時に理解する。そればかりか、違和感の正体までも導き出したが、今はそれどころではない。
(おいおい、このおばはん、何を言ってるんだ? やっぱり、変な薬でもやってんじゃないのか……)
内心ではドン引き状態だが、ここは職場、強い精神力で無表情を貫き通す。
ここで失言したら、それこそ、この女の思う壺である。コンプラだ何だと言って、脅してくるに決まっている。
まずは、確認が先だ。
おばはんに成り下がったソフィアに、「少し時間が欲しい」と丁寧な断りを入れてから、ソフィアの隣にいる啓輔へと向き直る。
「え? あたし?」
途端に狼狽えだした啓輔の腕を引っ掴んだ央輔は、ソフィアを洋輔に託してから、啓輔を引き摺るようにして場所を廊下へと移した。
「お~、噂に違わぬ美貌だわ~。エクセレント! 眩しいぐらいだわ! 央輔、今日はお会いできて光栄です~! 是非、後でお写真を一緒にとっていただきたいわぁ。家宝にしたいの。まさか、本当にお会いできる日がくるなんて、夢のようだわぁ」
「……い、いえ、こちらこそ、ご指名いただき光栄です」
「これも啓輔のおかげね~、ベリベリサンキュ~!」
何故か興奮した様子で、テンションも非常に高い。まさか、おかしな薬では……と一瞬脳裏に過ったが。
「も~、ソフィアったら、大袈裟なんだから~」
いつものハイテンションで女優とハグし合っている啓輔と同類だな、とすぐに納得した央輔だ。
もちろん、英語での挨拶だが、英語・ドイツ語・フランス語をマスターしている央輔には造作もない。
だが、何だろう。
言葉の端々に妙なものが交じっているような気がするのだが……。気のせいだろうか。
それに、この感じ、どこかで感じたような気が……。これも、気のせいだろうか。
若干引っかかりながらも、央輔は美容外科医として真摯に対応した。
それからは、談笑を交えながら、施術についての説明へと移行していった。
その間も何やら既視感のようなものを感じて、落ち着かない。
とはいえ、今は仕事中である。
そんな素振りはおくびにも出さず、お得意の無表情を貫いていた。
「もちろん、施術に入る前には、身体面だけでなくメンタル面も含めてカウンセリングを実施して、おひとりお一人の体質にも考慮したサポートを心がけておりますので――」
央輔が違和感を抱いていたソフィアに動きがあったのは、説明も終わりに差し掛かった時のことだ。
さっきから視線を膝に落として、何やらもぞもぞとしていたソフィアが思い切るようにしてガバッと顔を上げると同時に口を開いた。
「あ~、なんて素敵なの。パーフェクトだわ~! もう、この感情を抑えることなんてできないわ。ねえ、央輔。私のパートナーになってくれないかしら。そうしたら、世界中に売り込んであげるわ。悪い話じゃないと思うの。ねえ、央輔、貴方もそう思わない?」
一瞬、我が耳を疑ったが、央輔の優秀な頭脳は瞬時に理解する。そればかりか、違和感の正体までも導き出したが、今はそれどころではない。
(おいおい、このおばはん、何を言ってるんだ? やっぱり、変な薬でもやってんじゃないのか……)
内心ではドン引き状態だが、ここは職場、強い精神力で無表情を貫き通す。
ここで失言したら、それこそ、この女の思う壺である。コンプラだ何だと言って、脅してくるに決まっている。
まずは、確認が先だ。
おばはんに成り下がったソフィアに、「少し時間が欲しい」と丁寧な断りを入れてから、ソフィアの隣にいる啓輔へと向き直る。
「え? あたし?」
途端に狼狽えだした啓輔の腕を引っ掴んだ央輔は、ソフィアを洋輔に託してから、啓輔を引き摺るようにして場所を廊下へと移した。