一夜限りの関係のはずが、隠れ御曹司から執愛されています
 どんな反応をしたら良いのかわからなくて
「お手洗いに行ってきますね」
 ハハっと笑い、トイレに行った。

 私、変な顔していないよね。
 トイレの鏡で化粧が崩れていないか確認をする。

 それにしても、ジャケットだけ返してもらう予定だったのに。
 私の方が真宮さんに気分転換を付き合ってもらっているみたい。

 化粧室から出て、真宮さんを探す。

 あれ、いない。どこに行ったんだろう。
 店内を探すも見当たらない。
 帰っちゃったのかな。いや、真宮さんの性格だ。何も言わずにそんなことをする人じゃない。

 でも真宮さんとは出会って二日目だ。本当の性格なんてわからないか。
 ゲームセンターから一歩出て、周りを見渡す。

<どこにいますか?>
 スマホでメッセージを送ろうとした時だった。

「すみません。ちょっと良いですか?」

 声の方を見ると、見知らぬ若い男性が二人立っていた。

「はい?」

「俺たちこれから飲みに行こうと思ってるんだけど、良かったら一緒に行きませんか?奢るんで」

 これってキャッチ?ナンパ?
 よくわからないけれど
「すみません。今友達と遊んでいて」
 一応返答し、もう一度ゲームセンターに入ろうとしたが
「え、じゃあその友達も一緒でいいですよ。飲みましょうよ。お姉さん、可愛いから奢るよ」
 一人の男性に立ちふさがれる。

 その時
「すみません。お待たせしました」
 真宮さんが手を引いてくれ、男性からかばってくれた。

 真宮さん、良かった。来てくれたんだ。

「えっ、友達って。このダサい人のこと?」

 声をかけてきた男性が笑っている。
 真宮さんは気にせず
「行きましょうか」
 そんな風に言ってくれた。

「俺たちの方が良いじゃん。もしかしてお姉さん、レンタル彼女でもしているの?」

 男性の失礼な声かけにイラっとしてしまった私は
「あなたたちより、よっぽど彼の方がカッコ良いですけど。モテないから声かけてるんでしょ?」
 思わず挑発に反応してしまう。

 ああ、やばい。やってしまった。

「はっ?今なんて言った?」

 男の一人が私に詰め寄ろうとしたが、真宮さんが前に立ってくれ
「ここでは声かけは禁止なはずです。迷惑なんで早く消えてくれませんか?交番、そこにありますしみんな見てますよ」
 冷静に言い返してくれた。

 真宮さん。雰囲気が変わった?
 てっきり、すみませんとか言いそうなのに。怖くないのかな。
 私のこと、ちゃんと守ってくれるんだ。

 飲み会の時と違う彼の態度に感心してしまう。

 二人組は「チッ」と舌打をして、その場から去って行く。

「小春さん、すみません。探していたんですが、すれ違っていたみたいで」

 いつもの真宮さんに戻った。

「いえ。私の方こそ。すみませんでした」

 私が男性に言い返さなかったら、もっと穏便に終わっていたはずなのに。

「小春さんが俺のこと、あんな風に言ってくれて嬉しかったです」

「いえ。あんなケンカに乗らなきゃいいのに。真宮さんのことをバカにされた気がして。イライラしちゃった。最近寝不足なのかも」

 大人なんだからもっと落ち着いて行動しないと。こんなに喧嘩っ早い女、嫌われるよね。

「俺は言い返してくれてスッキリしましたよ。でも危ない人もいるので、気をつけてください」

「はい」

 真宮さんはフッと笑い
「小春さんにこれを取ってあげたくて。トイレに行っている時に、挑戦していたんです。まぐれかもしれないですが、一回で取れたのですぐに戻ったんですが、行き違いになってしまいすみませんでした」

 彼が私に渡してくれたのは
「ええっ!これ、私の好きなキャラです!」
 仕事用カバンにもつけているうさぎのキャラクターのキーホルダーだった。

 小さい頃から好きで集めている。
 新と同棲するようになって<小物を増やすな>なんて言われて、集めないようにしていたけれど。

「この前の飲み会の時にカバンに二つ、ついていたので。好きなのかなって思って。ちょうど見つけて」

 私もさっきあることは知っていたけれど、苦手な機械だったから諦めていた。
 これ、ゲームセンター限定のやつだ。嬉しい。
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