一夜限りの関係のはずが、隠れ御曹司から執愛されています
「ウソじゃないです。俺、小春さんのこと、好きです」

 真宮さんの私を抱きしめている力が一瞬強くなった気がした。
 私のことを好き?真宮さんが?
 ああ、考えるのが疲れる。

「ウソじゃないなら、抱いてください」

 ギュッと彼にしがみつく。
 ほら、何も言い返せない。どうせ本気じゃないくせに――。

 私は彼の胸から離れ
「さよなら」
 一言そう告げ、ゆっくり歩き出した。

 休憩しながらゆっくり帰れば大丈夫だ。

 そう思った時、うしろからギュッと抱きしめられた。

「逃がさない。小春さんが誘ったんですからね?」

「えっ?」

 真宮さんに手を引かれ、時折支えられながらタクシーに乗る。

「真宮さんっ?」

 彼はすでに降車場所を指定しているらしく、タクシーの運転手さんも何も言ってこない。

 タクシーの揺れが眠気を誘う。
 目を開けるとそこは――。

「あれ。ここって」

 大手高級ホテルだ。
 真宮さんに手を引かれるまま、ついて行き、一室に入る。

 広い。こんな部屋、テレビとかでしか見たことがない。

「あのっ、真宮さん?きゃっ」

 彼は私をベッドに押し倒した。

 ふかふかな大きなベッド。この状況を理解しながらも、呑気にそんなことを考える。

 真宮さんはメガネを取り、私の両手を押さえ
「んっ、んんっ」
 私にキスをした。

「ふっ、んんっ……」

 控えめな彼らしくない、強引なキス。
 口腔内に無理矢理舌が入ってくる。

「んっ」

 何も考えられない。
 チュッとリップ音が部屋に響く。

 私、嫌なら嫌って伝えればいいのに。

「はぁっ……」

 どうしよう、気持ち良い。彼とのキスが嫌じゃない。

「ふっ……」

 激しい、息をいつすればいいの?
 唇が離れたかと思ったら、首筋にチュッと彼の唇が当たった。

「あっ……」

 ビクっと身体が反応する。
 真宮さんは私に跨りながらも
「小春さんが嫌だったらここで止めます。どうしますか?」
 真宮さんのメガネを取った顔、はじめて見た。

 やっぱり大きな瞳、なのにどこか鋭くて。毛量の多い髪の毛も乱れている。

 ああ、変だ。きっとお酒のせいだ。キスだけで身体が彼を求めている。

「イヤじゃないです……」

 私がそう答えると、フッと笑い
「もう戻れませんよ?」
 耳元でそう囁いた。
 
 顎をグイっと持ち上げられ
「んんっ!」
 息ができないほどの激しいキスをされる。

 これ、本当に真宮さんなの?同じ人ではないみたい。
 真宮さんの手が洋服の上から私の胸に触れた。

「んっ……、あっ」

 強引だけど、痛くない。
 キスしながら服を脱がされ、胸の先端をチュッと吸われる。

「ああっ」

 私がビクっと反応すると
「可愛いです」
 耳元で囁かれ、そのまま耳朶を甘噛みされた。

「はっ、あぁ!」

 真宮さんの指がショーツの中に入り
「ンぁ…!」
 すでに濡れている部分を指の腹で擦られ
「小春さん、もうこんなに濡れてる。もっと前戯してほしい?」
 彼は私の愛液がついた指先を見て笑っている。

 コクっと頷くと彼はフっと笑い、ゆっくりと身体全部を愛撫してくれた。

「真宮さんっ、そこっ、もっと」

 はじめてのセックスじゃないみたい、彼は私の感じるところを責めてくる。

 私は真宮さんに抱きつき、自分から彼にキスをした。

「んっ……」

 その時、新からの<こいつ、強引なんで>という言葉が頭の中で再生され「ごめんなさい」唇を離す。

 真宮さんはどうして謝るのか?という風に首を傾げたように見えたが
「あんな奴のこと、思い出さなくていいですよ。今は俺だけを見てください」  
 そう言って、チュッと優しく頬にキスをしてくれた。

 この人にはどうしてわかるんだろう。
 そう、今は真宮さんといる時間なんだ。
 嫌なことすべて忘れて、この時間に身を委ねたい。
 これは最初で最後の一夜の恋ってやつなんだから。
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