一夜限りの関係のはずが、隠れ御曹司から執愛されています
「うーん。小春さんに対等に接してほしくて」

 対等に接してほしい?どういうこと?
 真宮さんの言っていることが理解できない。

 一生懸命考えていると
「小春さんは俺のこと嫌いですか?」
 引き寄せられ、ジッと見つめられる。

 嫌いとか好きとかわからない。

「真宮さん、ずっとお芝居してたんですか?見た目だけじゃなく、言葉遣いとか、性格とか……。私は昨日までの真宮さんだったらキライじゃないです。だけど、今の真宮さんはどんな人なのかわかりません!」

 これ以上、彼と関っちゃいけない気がする。
 そんな予感からか、ベッドを慌てて降り服を着た。

「小春さん、すみません!俺、実は……!」

 うしろから彼の声が聞こえてきたけれど
「お世話になりました」
 なんて言っていいのかわからず、ペコっと頭を下げ、その場をあとにする。

 ホテルから出ると日光の光が眩しく感じた。
 私、あの人とあんなこと……。

 これもいつかは<あんなこともあったな>なんて、人生の経験にでもなるんだろうか。

 飲み会からの真宮さんは全部演技だったの?気弱なフリしているだけ?
 それとも容姿はイケメンだけど、性格はあのまま?もうわからない。
 真宮さんの真意がつかめない。良い人だと思っていたのに。
 
 私は帰りの電車の中で、真宮さんの連絡先をブロックした。


 二日後――。

 いつも通り出勤していると、なんだかブースがざわざわしている。
 何かあったのかな。
 自分には関係ないことだと思っていた時
「小春ちゃん!葉山さんと垣田さんが結婚するんだって?知ってた?」
 私を誘ってくれた斎藤先輩が声をかけてきた。

 葉山さんって、新のことだよね。
 この前、居酒屋で言ってたことは本当だったんだ。
 ドクンと大きく鼓動が鳴った気がした。

「葉山さんって、小春ちゃんの元彼だよね?最近別れたばっかりじゃなかったのー?」

 斎藤先輩は私が答え辛い、嫌なところを聞いてくる。

「小春ちゃんと垣田さんを天秤にかけてたんじゃないかって、みんなが言っているの。私が言ったんじゃないからね!」

 ハハっと彼女は面白そうに笑っている。
 私が新と別れてまだ半年も経っていない。数カ月くらいなのに。

 瑠璃さんとはもう結婚するの?
 もしかしてみんなが言っていた通り、同時進行していた?
 この間は酔っていて、その部分をあまり気にしていなかった。

「私の同期が何人か結婚式に来てほしいって連絡があったんだって。招待状はまだらしいけど。だからこの話は嘘じゃないからね」

 斎藤先輩は、私の返事を待たずして席へ戻って行く。
 私、何も知らなかった。新と瑠璃さんが良い感じになっていたなんて。

 新と同棲していた時、帰りが遅い日は残業じゃなくて、瑠璃さんと会っていたの?休日も接待とか行って出かけてた時も、瑠璃さんと一緒だった?

 新に未練はない。
 だけど、悔しい気持ちでいっぱいになる。
 二人の関係はかなり前から終わっていたのに、どうして早く言ってくれなかったんだろう。
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