一夜限りの関係のはずが、隠れ御曹司から執愛されています
「へぇー。それは知らなかった。どんな人なの?」
「とっても良い人です」
良い返事が見つからない。
「今度、会社全体で大きな報告会があるでしょ。その後は、食事会になるよね?その時に連れてきてほしいな。とっても良い人なら、小春ちゃんが頼めば迎えに来てくれるよね」
そうだ。今度、大きなイベントがあった。
報告会と言えばそうだけれど、懇親会みたいなものがある。
「彼も仕事をしているので……」
「《《良い人》》なんでしょ。まさか、ウソじゃないよね。楽しみにしてる」
瑠璃先輩は私が断わろうとしているのを遮って、自分の部署へ戻って行った。
「はぁ」
深いため息が出てしまった。
懇親会って、三週間後くらいだっけ?
それまでに彼氏なんてできるわけがない。どうしよう。
つくづく自分がバカだと思う。
私に彼氏がいるという話は、ものの三日くらいで社内に広まり
「ええっ、小春ちゃん。彼氏できたの?どんな人?」
私を合コンに誘った斎藤先輩たちに毎日問い詰められる日々だ。
「良い人です」
私の答えはその一択で
「今度の懇親会の時に紹介してくれるんでしょ?早く見たいな」
斎藤先輩は、口元を手で押さえながら笑っている。
私になんか彼氏はいないんでしょって顔だ。
一方、元彼の新と瑠璃先輩は「おめでとう」って社内で声をかけられているのをチラホラ見かけた。
社内恋愛禁止ではないし同じ部署でもないから、とくに問題ないだろう。
「ありがとうございます」
瑠璃先輩が嬉しそうに反応しているのを見て、複雑な気持ちになってしまうのは、私の心が狭いからだよね。
一週間後、私は業務をいつも通りこなす日々で、大見得を切ってしまって噂されている<良い>彼氏なんかできるわけがなかった。
素直にウソでしたなんて言ったら、バカにされるんだろうな。
トイレで斎藤先輩たちが
「小春ちゃん、あれ、絶対ウソだよ。見栄をはっちゃって。ウケる。あの子に良い彼氏なんてすぐにできるわけないじゃん。葉山さんの話では、性格がかなりキツイって言ってたよ。瑠璃さんみたいな癒し系に行く理由がわかるよね」
なんて陰口が聞こえてきた。
瑠璃先輩が癒し系か。作っていない天然の癒し系なら、私にあんなことを言ってこないと思うんだけどな。
会社では、元彼の結婚の話題から居心地が悪い日々が続いていた。
夜は変わらず寝不足だし、偽装彼氏について考えるも良い案なんか浮かばない。
「はぁ」
ため息をついてしまった時だった。
一瞬、ブースの空気が変ったのを感じ、みんなの目線を確認する。
うちの課にはあまり姿を見せない部長が入ってきた。
そのうしろに若い男性が見える。
誰だろう、新入社員とか?
いや、社員だったらわざわざ部長が連れてこないか。
課長が部長に頭を下げている。
すると
「一旦、手をとめてください」
課長が全体に聞こえるように声を上げた。
チラッと見ていた私も、声の方向を向く。
その時、部長の横に立っている男性と目が合った。
え、ちょっと待って。
待て待て待て。あの人って、真宮さん!?
メガネと長髪じゃない、変装をしていない真宮さんだ。
どうしてここにいるの?
HOPE製薬の人だから、下請けのうちにくるのはおかしいことじゃないけれど。
あれ、でも変装してない。
メガネをしている時がHOPE製薬で働く姿の真宮さんじゃないの?
頭がこんがらがってきた。
真宮さんとずっと目が合っている気がする。
ニコッと笑いかけてくれてた気がするけれど、気のせいかな。
「とっても良い人です」
良い返事が見つからない。
「今度、会社全体で大きな報告会があるでしょ。その後は、食事会になるよね?その時に連れてきてほしいな。とっても良い人なら、小春ちゃんが頼めば迎えに来てくれるよね」
そうだ。今度、大きなイベントがあった。
報告会と言えばそうだけれど、懇親会みたいなものがある。
「彼も仕事をしているので……」
「《《良い人》》なんでしょ。まさか、ウソじゃないよね。楽しみにしてる」
瑠璃先輩は私が断わろうとしているのを遮って、自分の部署へ戻って行った。
「はぁ」
深いため息が出てしまった。
懇親会って、三週間後くらいだっけ?
それまでに彼氏なんてできるわけがない。どうしよう。
つくづく自分がバカだと思う。
私に彼氏がいるという話は、ものの三日くらいで社内に広まり
「ええっ、小春ちゃん。彼氏できたの?どんな人?」
私を合コンに誘った斎藤先輩たちに毎日問い詰められる日々だ。
「良い人です」
私の答えはその一択で
「今度の懇親会の時に紹介してくれるんでしょ?早く見たいな」
斎藤先輩は、口元を手で押さえながら笑っている。
私になんか彼氏はいないんでしょって顔だ。
一方、元彼の新と瑠璃先輩は「おめでとう」って社内で声をかけられているのをチラホラ見かけた。
社内恋愛禁止ではないし同じ部署でもないから、とくに問題ないだろう。
「ありがとうございます」
瑠璃先輩が嬉しそうに反応しているのを見て、複雑な気持ちになってしまうのは、私の心が狭いからだよね。
一週間後、私は業務をいつも通りこなす日々で、大見得を切ってしまって噂されている<良い>彼氏なんかできるわけがなかった。
素直にウソでしたなんて言ったら、バカにされるんだろうな。
トイレで斎藤先輩たちが
「小春ちゃん、あれ、絶対ウソだよ。見栄をはっちゃって。ウケる。あの子に良い彼氏なんてすぐにできるわけないじゃん。葉山さんの話では、性格がかなりキツイって言ってたよ。瑠璃さんみたいな癒し系に行く理由がわかるよね」
なんて陰口が聞こえてきた。
瑠璃先輩が癒し系か。作っていない天然の癒し系なら、私にあんなことを言ってこないと思うんだけどな。
会社では、元彼の結婚の話題から居心地が悪い日々が続いていた。
夜は変わらず寝不足だし、偽装彼氏について考えるも良い案なんか浮かばない。
「はぁ」
ため息をついてしまった時だった。
一瞬、ブースの空気が変ったのを感じ、みんなの目線を確認する。
うちの課にはあまり姿を見せない部長が入ってきた。
そのうしろに若い男性が見える。
誰だろう、新入社員とか?
いや、社員だったらわざわざ部長が連れてこないか。
課長が部長に頭を下げている。
すると
「一旦、手をとめてください」
課長が全体に聞こえるように声を上げた。
チラッと見ていた私も、声の方向を向く。
その時、部長の横に立っている男性と目が合った。
え、ちょっと待って。
待て待て待て。あの人って、真宮さん!?
メガネと長髪じゃない、変装をしていない真宮さんだ。
どうしてここにいるの?
HOPE製薬の人だから、下請けのうちにくるのはおかしいことじゃないけれど。
あれ、でも変装してない。
メガネをしている時がHOPE製薬で働く姿の真宮さんじゃないの?
頭がこんがらがってきた。
真宮さんとずっと目が合っている気がする。
ニコッと笑いかけてくれてた気がするけれど、気のせいかな。