一夜限りの関係のはずが、隠れ御曹司から執愛されています
 マンションへの帰り道
「詩音さん。どうしてプロボーズを決めてくれたんですか?」
 付き合ってまだ時間が経っていない。カップルらしいこともしてないのに。

「俺は最初の出会いで小春さんに惚れてしまって。この人じゃなきゃダメだって思ってました。これから父を継ぐことになる、心の支えは欲しかったんです。小春さんならいろんなことに一緒に闘ってくれるだろうって」

 はじめての出会い、私が詩音さんを連れ出した時だよね。
 あの時は無我夢中で、彼が演技をしているなんて思わなかったな。
 一年も経っていないのに、遠い昔のように感じる。

「あと、俺の姉に<詩音さんが私のことを好きでいてくれるかぎり、別れません>って宣言してくれた時、すごく嬉しかったです。姉にあんなことを言われてもきちんと応えている小春さん、素敵でした」

 そうだ。奈々子さんにも結婚のこと、きちんと報告したい。
 あれ。私、詩音さんに奈々子さんと二人っきりになった時の会話、話していない。どうして知っているんだろう。奈々子さんが話したのかな。まるで近くで聞いていたかのような感じだ。
 でも詩音さんは、仕事の関係で外へ電話に行っていたはずなのに。奈々子さんが話してくれたのかな。

「詩音さん、奈々子さんから聞いたんですね?私の発言……」

 どこまで奈々子さんから聞いたのか訊ねようとした時、詩音さんはギュッと私の手を握り
「小春さん。結婚式はどうしますか?新婚旅行とかも……」
 急に飛び越えた話をしてきた。

「えっ、もうそんな話ですか?まずはご家族に挨拶したいです」

「そうですね。俺も小春さんのご両親に挨拶したいです」

 詩音さんってたまにせっかちでヤキモチ妬きなところがあるけれど、それは過去に辛いことがあったからだよね。
 自分では独占欲が強いって言ってたけど、ずっと私がそばにいることを信じてくれたら、それも良い方向に変わるのかな。

 彼の屈託のない笑顔、これからの未来に楽しみが広がって、その時の疑問なんてすぐに消えてしまった。

 詩音さんがくれた私のカバンについているウサギのキーホルダーが私と同じように笑い、夜景を見るようにキラリ輝いている。


<終わり>
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