夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
「……もう二人?」
「佐伯さんとは、結婚前提のお付き合いでしょ。義理のお母さんもいるじゃない」
いわれた瞬間は理解が及ばなかった。だけど、ふと視線を落とした先、左手の薬指が目に入って理解した。
「その、まだご挨拶に行っていなくて……」
「あらそうなの?」
「色々片付けてから、それぞれの親に挨拶にいく約束はしているんですが」
「緊張するわね」
再び走り出す車内に、朗らかな声が響いた。
「はい。考えただけで足がすくみます。その、渉さんのお父さんって地元では有名な弁護士で、代議士の顧問弁護もされていて」
「さすがアークス&リベラスにお勤めの佐伯さんのお父様ね。でも、心配ないわよ」
「そうでしょうか……」
「そうよ。だって、百香ちゃんは頑張り屋さんで真面目な自慢の娘よ! 横浜のお母さんのお墨付きなんだから、自信を持ちなさい」
いつもと変わらない朗らかな笑みに、胸の奥が温かくなる。
五年間、たくさん悩んできたけど、私はこんなにも人に恵まれていたんだ。
鞄に下がるクマのマスコットをきゅっと握りしめ、何度か頷いて「はい」と答えると、奥さんは「私たちも挨拶を待っているからね」と念を押すようにいいながら笑った。
「佐伯さんとは、結婚前提のお付き合いでしょ。義理のお母さんもいるじゃない」
いわれた瞬間は理解が及ばなかった。だけど、ふと視線を落とした先、左手の薬指が目に入って理解した。
「その、まだご挨拶に行っていなくて……」
「あらそうなの?」
「色々片付けてから、それぞれの親に挨拶にいく約束はしているんですが」
「緊張するわね」
再び走り出す車内に、朗らかな声が響いた。
「はい。考えただけで足がすくみます。その、渉さんのお父さんって地元では有名な弁護士で、代議士の顧問弁護もされていて」
「さすがアークス&リベラスにお勤めの佐伯さんのお父様ね。でも、心配ないわよ」
「そうでしょうか……」
「そうよ。だって、百香ちゃんは頑張り屋さんで真面目な自慢の娘よ! 横浜のお母さんのお墨付きなんだから、自信を持ちなさい」
いつもと変わらない朗らかな笑みに、胸の奥が温かくなる。
五年間、たくさん悩んできたけど、私はこんなにも人に恵まれていたんだ。
鞄に下がるクマのマスコットをきゅっと握りしめ、何度か頷いて「はい」と答えると、奥さんは「私たちも挨拶を待っているからね」と念を押すようにいいながら笑った。