夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
 渉さんがいたら、むしろ羞恥で顔が見られなかったかもしれない。とはいえ、いつまでもこのまま裸でいるわけにもいかないし。

 まごまごとしていると、リビングに繋がるドアが開けられ、ふわりと芳ばしいコーヒーの香りが漂ってきた。

「起きてるね。おはよう、百香」

 声に弾かれるようにして、とっさに毛布を引っ張り上げ、胸元を覆い隠した。すると、渉さんは少し驚いた顔をする。だけどその表情はすぐに、どこか楽しそうな笑顔に変わった。

「おはようございます」
「そろそろ朝ご飯にしよう」

 ベッドの端に腰を下ろした渉さんは端正な顔が近づけ、私の唇を啄むようにして、口づけを落としていった。
 私の肩に、柔らかなバスローブがかけられる。

「さすがにその姿は目に毒だな」
「……渉さんが、そうしたんですよ」

 恥ずかしさに耳が熱い。
 いそいそとバスローブに袖を通し、前を合わせていると、逞しい腕が腰に回された。それだけで昨夜のことを思い出してしまって、身体に甘い疼きが走り、吐息をこぼしてしまう。

「朝だというのを忘れてしまいそうだ」
「だっ、ダメです……んっ!」

 腰を強く引き寄せられ、声が上ずった。
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