夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
 恥ずかしさに逃げたくなる気持ちを必死に繋ぎ止め、渉さんのシャツに顔を埋めた。

「今日は一日休みを取れたから、ゆっくりしよう。桃田さんにも連絡を入れている」
「──ひゃっ!?」

 身体がふわりと上がり、毛布がベッドに落ちた。
 横抱きにされ、とっさに渉さんの首にしがみつくと、額に唇が優しく触れる。
 そのままリビングに攫われ、朝食の並んだテーブルの前で降ろされた。

 ベーコンエッグに芳ばしく焼かれたトースト、それとプチトマトとブロッコリーがのったサラダ。コンソメスープにはホウレン草が入っている。

 一緒に暮らすようになってから、いつも私が朝食を用意していた。だから、渉さんの手料理はこれで二度目になる。初めてこの部屋に泊まった次の日に食べた朝食を思い出し、あの時よりもほんの少し野菜が増えている気がした。

「起こしてくれたら作ったのに」
「立つのも億劫かと思って」

 肩を並べた渉さんが私の腰に手を添えた。さわさわと撫でられ、頬が熱くなった。
 なにもかもお見通しな気がして、ほんの少しだけ、嫉妬心が芽生えた。

「……渉さん、女性の扱い方慣れてますよね」
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