夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
 男は私と同じくらいの年齢だろうか。着ている服やアクセサリーはこれ見よがしにブランドで固められていて、品性を感じられない。どう頑張っても美人な真奈さんには不釣り合いだ。

 真奈さんは涼しい笑顔で、男をあしらっているけど、きっと迷惑しているよね。

「そうだ。夜道は危ないし、帰り、俺が送ってやろうか」
「ご心配には及びません。空手を嗜んでいますので。それより、あまり飲み過ぎると明日が大変ですよ」

 空手をやっていたなんて話は聞いたことがなかったな。もしかしたら、断りの常套句だろうか。でも、女の私から見ても美人でカッコイイ真奈さんなら、空手をやっててもおかしくない。なんなら、ときめいちゃうかも。

「じゃあさ、俺、美味しい店知ってるんだ。料理も酒も美味しいからさ。今度、一緒に飲みに行かない? お姉さんの店の参考になると思うんだよね」

 真奈さんが優しく断っていることに全く気付かない男は、とんでもない誘い文句をいいだした。
 このバーは真奈さんが一人で切り盛りしている。おつまみだって、真奈さんの手作りだし、カクテルに使われるお酒だって厳選されたものだ。そのお店で、他の店に誘うだなんて。
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