夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
 黙って耳をそばだてていたけど、もう我慢の限界だった。
 グラスに残るジントニックを煽った私は「真奈さん!」と声をかけた。とりあえず、あの男から真奈さんを引き離さないと。

 真奈さんはこちらを一度見ると、男に「失礼します」といって私の前に移動してきた。すると、男は聞こえるように舌打ちをする。

「どうしましたか、百香ちゃん」
「あのね、相談に乗って欲しいの」

 二杯目のジントニックを頼むと、真奈さんはボトルを手にしながら「それで?」と私に尋ねた。

「親がね、お見合いをしろっていうのよ」

 大した相談ではないけど、男から真奈さんを引き離すのに成功したようだ。

「田舎に帰る気はないっていっても、一度だけでいいから会ってみないかって煩くて。どう断ったらいいと思う?」
「会った上でお断りするのはどうですか?」
「それだと、田舎に一度は帰らないといけないでしょ?」
「そうですね」

 差し出されたグラスを手に取り、ライムの香りが爽やかなジントニックを一口飲む。

「それだけは絶対嫌なの」
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